北海道新幹線開業で廃止!緑に囲まれた函館本線山線のうち「小樽駅~倶知安駅」の普通列車に乗る
はい、皆さんこんにちは。いんたらくとです。
小樽から倶知安へ
小樽駅から普通列車にのって倶知安駅を目指します。小樽駅で倶知安行きの列車が出発するのも残り数年となりました。2030年開業を目指している北海道新幹線ですが、2022年には沿線自治体の承諾があり、並行在来線の山線は廃止されバス転換が行われることが決定されました。山線にいたっては、2030年の新幹線開業に向けた整備のために更に前倒しで廃止される見込みとなっています。
小樽駅から倶知安駅までの所要時間は約1時間15分と日常的に移動するには遠いですが、たまに遠出すると考えればそれほど遠くはありません。札幌から小樽、倶知安、ニセコという沿線地域に訪れるために、新幹線に乗車するような距離でも無いので、在来線が廃止されると気分的には訪れにくくなりそうです。
緑に囲まれた函館本線の山線
2020年に導入されたH100形気動車に乗車しているので何だ不思議ではありますが、この路線はあと数年で廃線となります。北海道各地に先駆けてH100形気動車を導入したのは、小樽までは電化されており電車が多い地区ということもあって、旧式気動車の整備にかかる負担が相当大きかったのかもしれません。
函館本線は最も古い区間で1880年に開業した函館~旭川までのとても長い路線です。函館本線の中でも『小樽~長万部』間は通称山線と呼ばれる山間部を通る経路となっています。1928年に通称海線と呼ばれる室蘭本線が開通すると特急や貨物は次第に線形が良く所要時間の短い海線経由へと変更され、札幌~函館間の重要路線としての立ち位置から退きました。
北海道の発展の一翼を担った路線ではありますが、残念なことに山線の沿線区間には人口の多い中心都市も無く、鉄道需要を支えるほど大きな観光名所もありません。特に倶知安~長万部には1日数人しか利用しないとも言われており、運行を続けることは困難ということが確認され、北海道新幹線開業に伴い廃止されます。新幹線はトンネルの中を通るのでのんびり眺める車窓からの景色も見納めとなります。
倶知安駅に到着
列車は定刻通り終点の倶知安駅に到着しました。倶知安駅では新幹線開業に向けた工事が進められています。在来線ホームが真新しいのは、新幹線の工事のためにもともとのホームから移動する必要があったことが理由です。折り返し運転のための長時間停車しても問題ないようにスノーシェードが設置されています。
利用者も少なく本数が減らされていった結果として、現在では長万部まで朝夕を中心に1日に7本しかありません。ここまで少ないともはや乗車するほうが困難です。倶知安から長万部方面を眺めてみると赤信号が見えました。出発信号が青になるのは1日7回だけということになります。
倶知安は蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山の麓の街でリゾート地のニセコや比羅夫の玄関口となる街です。今回は札幌からの日帰り観光を予定していたので、駅に設置されていた観光案内所にて周辺の観光地について聞いてみました。駅の裏手に転車台や高台となっている公園があるということだったので、ぶらりと見に行ってみることにしました。
もともとは、自転車で羊蹄山サイクリングを楽しもうかと考えていたのですが、生憎の雨だったことや期間限定で観光周遊バスが運行されていたので、それに乗車することにしました。観光周遊バスがあったからなんとかなったものの、レンタカーが無いと移動が困難です。倶知安やニセコを訪れる際には交通手段についてはじっくりと確認することをおすすめします。
倶知安駅の転車台
倶知安駅は1904年に開業し、山線が主体だった時代には259名もの職員が在籍する拠点となる駅でした。倶知安駅にある転車台は、1957年にこれまでよりも大型のC62形蒸気機関車の転回のために設置されたもので、1986年の国鉄民営化で倶知安機関支区が廃止された際にも撤去されずに残されたものだそうです。
保存状態があまりに悪くかなり傷みは見られますが、造りはしっかりしているので整備すれば今でも動きそうではあります。当時はまだ使用できる転車台をたったの30年で撤去してしまうのは気が引けたのでしょうか。ただ、窓は割れて色は剥げるに任せている管理状態の現状としては、気に留めず撤去されて「無かったことにされてしまうのでは?」と思うととても残念です。
ちなみに、東武下今市駅か鬼怒川温泉駅を訪れると今でも使用されている転車台を見ることが出来ます。
新幹線開業までの在来線設備
現在の在来線ホームも真新しさが残るホームですが、ホームの隣には同じく真新しさのある車庫や車止めが設置されています。発車表示表を見る限りでは、日中の本数を見る限りでは倶知安駅に何両も停車させておくことはなさそうにも思えますが、倶知安駅の南北で系統が分かれている駅ということもあって、夜間に車両を留置するための車庫があります。
おわりに
始発の小樽駅から乗車した人たちの大半は途中の余市で下車していきました。過去に余市までは乗車したことがあったのですが、そこから先は驚くほど僅か数人しか乗客がいませんでした。一過性の観光客はともかく地元民に利用されていないと廃線はやむ無しとなるのは仕方がありません。
近場でも新幹線でなければ訪れられなくなってしまう山線の廃止はとても残念です。『代替バス』や『自家用車』でどれだけ在来線持っている力をカバーしきれるのかは未知数です。沿線自治体の『まちづくり』が新幹線と代替バスでどれほど上手くいくのか見物なのは間違いありません。