SL故障でディーゼル機関車が代役!釧路から標茶まで雪原を走る「SL冬の湿原号」に乗車する
はい、皆さんこんにちは。いんたらくとです。
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釧路標茶間を走るSL冬の湿原号
SL冬の湿原号に乗車するために釧路駅にやってきました。釧路駅の出発案内標にSL冬の湿原号の表示がありました。列車名としてはSLとなっていますが、実際にはSLの車輪が故障したことで代役のディーゼル機関車での運転になります。試運転の時に撮影された映像では問題なく走行していたのを見ていただけにとても残念ですが、走行不能では仕方がありません。早期復帰を目指して名前はそのままSLとしての運転になっているそうです。
また、昨日に釧路から根室に行き帰りする分には全く影響が無かったのであまり気にしていなかったのですが、未だに札幌方面の特急が運休していました。大雪の影響で除雪が追いつかず札幌駅構内で多くの列車が立ち往生した大事件の余波がまだ残っていました。
ディーゼル機関車の冬の湿原号
SL冬の湿原号を牽引している蒸気機関車のC11 171は全般検査のあと故障して走行不能になってしまったため、急遽ディーゼル機関車のDE10 1690が代役となりました。国鉄色であるオレンジ色の車体が雪に覆われた真っ白の大地に映えます。真っ黒の蒸気機関車から橙色のディーゼル機関車になるのもレアといえばレアなので、運が良いのかも・・・??
展望車のたんちょうカー
展望車のたんちょうカーはノロッコ号と同じようにボックスシートと窓側を向いたロングシートの組み合わせになっています。たんちょうカーも14系客車がベースになっているのですが、内部がリニューアルされて新車のような雰囲気です。
車内の一部にはコンセントもあるので急なバッテリー切れにも対応できます。通路は下まで窓になっているので、開放感があります。
普通席は14系客車
普通席は14系客車の趣のある空間を生かした車両になっています。たんちょうカーはエアコンですが、普通席はだるまストーブが使われています。たんちょうカーのほうが新しく人気が高いようですが、せっかくSLに乗車するなら個人的には普通席のほうがおすすめです。
車内販売
車内販売ではSL冬の湿原号にちなんだオリジナルグッズや飲み物や食べ物も販売されています。ビールや炙って食べる系のおつまみを飲んだり食べたりしながら車窓からの景色を楽しむという良き鉄道旅を体験することができます。
釧路駅から標茶駅までの様子
釧路駅を定時に出発しました。札幌からの特急が運休になってSLも故障するというJR北海道にとっては泣きっ面に蜂という状況だったのでかなり人出が落ち着いていた感じでした。出発時間近くになるとホームから一気に人がいなくなりました。
冬の湿原号のおすすめの座席は進行方向を正面にしたときに、標茶行きは左側で、釧路行きは右側です。冬の湿原号も釧路湿原ノロッコ号とほぼ同じルートで走行するのでおすすめの座席も同じになります。
こまいと福司
だるまストーブの上には網が乗せられています。この網をつかって魚などを炙って食べるのが、蒸気機関車が現役だった昔ながらのスタイルだそうです。冬の湿原号ではそんなだるまストーブで炙って美味しく食べる体験も可能となっています。
早速、車内販売の売店にてこまいの干物を購入してきました。こまいは北方の海に生息するタラの仲間の魚です。味や食感はかなりタラに近いですが、袋を開けると強めの干した魚の匂いが漂うので持ち運びにはやや注意が必要です。
こまいと一緒に飲むのは釧路の地酒の福司です。福司は釧路の福司酒造が醸造しているお酒で、水のようにすーっと飲みやすい日本酒です。隣の席の方いわく地元では『不束者』とかけて『ふつつかさ』と親しみを込めて呼ぶ人もいるんだとか。
こまいをだるまストーブの上に乗せて炙ると温まって身が柔らかくなりました。こんがりと焼けて美味しそうな魚の匂いに変わってきました。今回はお楽しみ列車なので、干物や焼き魚の匂いが漂うことは風情ということで・・・。
釧路湿原と釧路川
釧路川と線路が最も近づくエリアです。夏のノロッコ号からはカヤックを楽しむ人が見えましたが、さすがに極寒の冬にカヤックをしている人はいません。この場所にもタンチョウが訪れていることもあるそうなのですが、通った時にはいませんでした。
ノロッコ号終点の塘路駅
釧路湿原ノロッコ号の終点である塘路駅に到着しました。釧路湿原ノロッコ号は塘路駅で折り返し釧路行きとして運転します。塘路駅から先も湿原は続いているのですが、釧路湿原と呼ばれる範囲は概ね塘路駅よりも南側なので、塘路駅で折り返しになっているようです。
塘路駅を出発すると進行方向右側に見えてくるのが塘路湖です。夏には湖面が見えるのですが、冬は凍りついていて真っ白の広場になっていました。冬ならではのアクティビティとして氷に穴を開けてワカサギ釣りを楽しむことが出来ます。
茅沼駅でタンチョウを見る
茅沼駅に到着しました。茅沼駅は駅員がタンチョウに餌付けしていたので、そのうちにタンチョウたちが安全な場所として立ち寄るスポットになっているそうです。冬になるとかなり高い確率でタンチョウに会える場所として知られています。
茅沼駅は現在では無人駅となっているため、周辺住民の有志の方たちが引き続き餌やりを行っているそうです。沢山の野生のタンチョウを見る事ができました。
鷹か鷲かは分かりませんが大きな鳥もいました。
乗車証明書と払い戻しの案内
SLの指定料金を支払っていたのですが、SLでの運行が取りやめになったので差額が返金されることになりました。乗車日から1年以内にJR窓口で指定席券を提示すると返金を受けることができるそうです。当日でなくても問題ないとのことだったので、後日駅の窓口にて返金処理をしてもらいました。本当はSLに乗車したかったのですが、冬に運行されないはずのノロッコ号に乗ったと思えば仕方がありません。
終点の標茶駅に到着
終点の標茶駅に到着しました。標茶駅は1989年4月30日までは標津線という路線も乗り入れていたため周囲の駅と比べると比較的利用者の多い駅でした。釧網本線をSLが走行していた頃は標茶駅で石炭や水の補給をするために数十分間の停車時間があったそうです。SL冬の湿原号が標茶駅で折返しとなっているのも歴史の再現という意味合いもあるようです。
たんちょうカーはエアコンも付いていて車内もとても綺麗なので今風の見た目なのですが、しっかりと14系客車であることが側面に記載されていました。
1897年にアメリカで造られたレールが展示されていました。古くなった線路は廃棄されずに駅舎の屋根用の柱などに使われていたことで現在にも残されています。
終点の標茶駅に到着しました。SL冬の湿原号は標茶で折り返し釧路行きとして運行されます。今回はそのまま北上して網走を目指すことにしたので、後続の普通列車が来るのを待つことにしました。
駅舎に隣接しているスペースでファーマーズマーケットが開かれていたので標茶で生産された牛乳を買ってみました。ファーマーズマーケットはSLの到着に合わせて歓迎の意味も込めて開かれているそうです。地元の食べ物を入手できるので、快適です。
おわりに
せっかくの蒸気機関車に乗車する機会だったのですが、車輪故障で動かなくなってしまったのでは仕方がありません。まだ、今後も蒸気機関車による冬の湿原号の運行を諦めたわけでは無いそうなので、また次の機会に本物のSL冬の湿原号に乗車することにします。ディーゼル機関車のDE10も珍しいので代役としては満足です。
一番良かったのはやはりだるまストーブの網の上でこまいを炙って食べるという体験が出来たことでしょうか。「車窓から北の大地の冬景色を眺めながら熱々に炙った魚を食べ雑談を楽しむ」というのはこれぞ旅情あふれるというものではないでしょうか。